電通大 夜間主での研究室生活

この記事は社会人学生 Advent Calendar 2019の9日目の記事です.

私は社会人学生として電気通信大学夜間主コース(K課程)で卒業研究(卒研)をしていました.そのことをつらつらと書きます.

電通大入学〜卒業の話はこちら:

kamocyc.hatenablog.com

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写真がないのも寂しいので,研究室から撮った富士山

卒研するかしないか

電通大のK課程では卒研は必修ではありません.「輪講」だけでも卒業できます. (輪講については後で書きます)

卒研のガイダンスでは,先生から「卒研をするには覚悟を決めて最後までやりきってください.中途半端な気持ちで途中でやめると先生の指導計画に影響が出て大変迷惑であり,将来のK課程学生の受け入れもできなくなるかも」的なことを言われ, まあ,卒研するかどうか迷いました.

最終的には,「研究ができる人生で最後のチャンスかも」ということで卒研を取ることにしました. これについては,ほんとに取ってよかったと思います. (研究室がよかったのもあるけど)

配属小話

K課程の卒研配属は,(1)配属先の昼間の学科を選択し学科に振り分け,(2)学科の中で研究室に振り分け,みたいな流れです. 研究室の配属方法が学科によって違います. 昼間の学科の配属方法によるんでしょう.

私が行った学科 (当時I科と言ってた) では,WEBページで配属先研究室を選択して希望を出して, しかもほかの学生の希望状況もリアルタイムで見えるという仕組みでした. 確か志望が被ったら,先生が面談の結果とかGPAで判断して決めるという感じでした.

ほかの学科では,志望の研究室を書いた書類を提出して (第15志望くらいまで書くらしい) ,被ったらGPA順で機械的に決まるみたいな話もありました. なのでLINEで根回しするのですが、もはや心理戦の様相を呈している感じでした。(あくまで個人のイメージです)

ここらへんの事情は改組で変わったかもしれません.

研究室の選択

研究室の選択は、非常に大事です.

まあ,研究室の選択の重要性は,ググればたくさん出てくると思います.

私はブラックさとかも気を付けながら(といっても研究室見学で学生から話を聞いたくらいだが) 主に研究分野から選択しました.

研究室の選択で卒業後の進路が決まってくる,ということで,色々考えました. もっと言えば研究室でその後の人生が決まると言っても過言ではないかも。たいして興味がなかったり、ブラックだったり、就職しても需要がないような分野の研究室だったりすると(企業に需要がある研究なら良いと一律には言えませんが)、その後の人生が大変です。

逆に、ほんとに興味のある研究ができれば、その分野で強い人になれるかもしれません(個人の能力にも大きく依存します)。

話は飛びますが,社会人になってから大学に来ている方たちはやはり意識が高い人も多いです. というかほんとにいろんなバックグラウンドの人がいて,ちらっと聞いただけでも面白いです. 自身のキャリアを常に考えて、起業も視野にいろんなことにチャレンジしていたり。ほんとに自分の価値観にも大きな影響を与えました。

話を戻します.今,AIやディープラーニングとかすごく流行っていて,周りの人も「これからはAIだ!」みたいなことを 言っていたりするので,一時は機械学習の方面の研究室にしようかなとも思いました.

しかし,機械学習系の研究室に見学に行ったとき,「自分が好きなことをするのが一番」みたいなことを 言われたこともあり,結局は一番興味があるプログラミング系の研究室を選びました.

ちなみに研究室によってK課程学生の受け入れがないところもあります.

仕事との両立

さて,社会人学生の一番の悩みは,研究と仕事を両立できるかということです. 当然ですが,見学や配属時の面談の時に仕事の都合を伝えて,社会人学生でも大丈夫か, それとゼミの時間などを融通してもらえるかなど確認が必要です.

中には配属が決まった後に,先生から仕事の都合で融通を効かせることはできない的なことを言われ, 結局卒研ができなかったという話もあるので... ほんとによく確認するか,評判をしっかり調べるか... まあ悪い先生に当たると怖いです...

私の場合は先生がとてもいい方で,仕事の都合を最大限に配慮していただいてゼミの時間など決めてもらえたので, とても幸運でした.

また,研究分野はプログラミングなので,いつでもどこでも研究できるみたいなところはあるので, 両立はしやすかったと思います.

ほかの人では,被験者を使った実験をするので,平日昼間に行かないといけないというところもありました. その人は仕事のシフトを調整して減らしてなんとかしたようです. 時間の制約は,研究テーマ次第です.

研究テーマ

研究テーマは,先輩が考えた理論を実装してみるみたいなことにしました. 完全に新規なことだと進捗の予想がつかない,っていうのもあります.

既存のテーマをなぞるだけになり,ほんとに新規のものを作り出す楽しさ(というかしんどさ)は 味わえなかったかも,という気持ちはあります. といっても,時間的にはこれでもけっこうギリギリだったので(少なくとも要領が悪い自分にとっては), 社会人学生だと時間がそこまでかからないテーマを選ぶというのは意識したほうが良さそうです.

相談の仕方に悩む

さて,テーマを決めるに際して少し問題がありました.

先生が2人いる研究室でしたが,そのうち1人が急遽(というか以前から決まっていたらしいが規則上話せず)別の大学に異動になってしまいました.

入る前は,「ゼミも共同でやっているっぽいし先生1人でも大丈夫だろう」とか思っていましたが,実は専門とする分野がかなり違っているとわかり,研究テーマを決める際にどうするか悩みました.

当時,数学に苦手意識を持っていて,卒研で数学をやらないと一生苦手なままだと思い,優秀なプログラマになるには数学の素養が必須という思いもあり,数学っぽい形式言語理論の研究をやることにしました.(もうひとつはOSの研究やDSLの実装など.それでも数学使うと思いますが)

しかし,形式言語理論の専門の先生は,別の大学に異動,ということで,メールやSkypeで相談になりました. まあ,どっちにしても平日の昼間は仕事で大学に来れないのでなかなか直接先生に相談する機会はないので,そんなに変わらないのかもしれません.

私はただでさえ人に相談するのが苦手なので,さらに遠距離で,ということでいろいろと悩みました. まあ,どっちにしても悩んだでしょうが^^;

それでもなんとかなって,無事に論文は書けて卒業はできました. とはいっても,やはりもっとしっかり相談したかったという気持ちは残ります. 下手に相談して時間が余計にかかってしまうことが怖くて相談できなかったというのもあり, まあ,それで方向性が間違ってたら余計タイムロスになるんですが... あまりフィードバックも頂ける機会を活かせなかったというのは心残りです.

あとは,研究室の先輩の力が大きいです. 平日の夜とか土日にも研究室に来ている先輩がいて,そこで色々相談しました. これがなかったら論文は書けてなかったかもしれないです.ありがとうございます.

スケジュール

研究テーマは,確かB4の5月の連休の前後くらいに方向性を決めました. それに関連したテーマで,8月末くらいまでに「実験」(というかテーマにもよるけど実装みたいなもの)をしてレポートを書くということをしました.

その後,卒研のテーマを確定させて,本格的に研究に取り掛かります. 年末までに研究の成果を出して, 翌年の1月中にダーッと卒論を仕上げるみたいなイメージです.

私は,「せっかくの機会だから」ということで追加のタスクを入れてしまい, 10月くらいに海外の学会への論文投稿 (というかほとんど先生が書いてくださったので,私は実験をしたくらい) や, 1月に国内の論文投稿をしました. 前者はrejectされましたが,後者はなんとかaccept (査読コメントでは色々言われたけど) されました.

色々とギリギリでしたが,最後は投げやり気味になってたんですが,まあ卒論含めてなんとかなりました. (スライドの図の微調整に時間をかけ過ぎたり... ほんとに要領悪かった... )

学会発表

さっき書いた国内の論文投稿の発表です.

ただで旅行できてわーいって思ってましたが,だいぶスケジュールがつめつめで, 会場もめっちゃ不便でまわりなんにもないし,発表は最終日だし,切符学割で往復買っちゃたから融通効かないし.. ということで観光はしませんでした.

それよりも,学会のほうです. 自分の発表自体は,研究内容はツッコミどころ満載だし,発表やスライドの作りもよろしくなくてうまく伝わったかどうか... みたいな感じだったんですが.

ポスター発表とか口頭発表とか,ほんとにいろんな研究テーマがあってすごいなーって思いました(語彙力). つよい人がたくさんいたし,すごく刺激になるので,自費でも参加したいくらいです. (実際,自費で参加した卒業生の先輩もいました.)

最後に

仕事と研究生活の両立は大変で,卒論が終わった後は正直「しばらくのんびりしたい...」みたいな気持ちでした. 土日もほとんど研究室にいましたし.

でも,面白いこともあるし,すごく充実しているので,研究したいっていう気持ちがあるなら卒研はおすすめです!